相続登記の手続きの期限

土地や建物の所有者の方が亡くなると、相続人に名義を変更する必要があります。この手続きのことを、相続登記と言います。相続登記の手続きは、法律上は特に期限はありません。不動産登記は、物理的現況(土地の地目や地積、建物の構造や床面積など)に関するものと、権利関係(所有権や抵当権など)に関するものの二種類があり、このうち権利関係に関する登記については、義務ではなく、したがって期限もないということになります。ちなみに、物理的現況に関する不動産登記のことを表題登記といいますが、この建物表題登記については、申請が不動産登記法上義務付けられています。

上記のように、法律上は、不動産の権利に関する登記は義務ではないのですが、一般的には、相続登記は、相続発生後一定期間のうちに手続きをしなければいけないと思われていることも多いようで、特に多いのが、「相続登記は、相続発生後10か月内にしなければいけない」という勘違いです。これは、相続税の申告が10か月内にしなければいけないことから、これと混同されているのです。

しかし、期限がないからといって手続きせずに放っておくと、困ったことになる場合があります。特に多いのが、売却を急ぐ場合です。相続発生後に、相続不動産を売却する場合、いきなり被相続人の名義から買主の名義に所有権移転登記はできません。不動産登記は、権利の変動を公示する必要があるため、相続が発生した後に売買が発生したのであれば、相続登記をまず完了させる必要があり、したがって、相続登記の手続きがスムーズにできなければ、売却もできないことがあります。

相続登記がスムーズにできないケースにはどのような場合があるでしょうか。たとえば、相続人の一人が認知症などで遺産分割協議が困難となったような場合が考えられます。遺産分割協議は相続人全員でしなければ無効ですので、認知症の方を除いて行った遺産分割協議は無効となります。したがって、認知症の相続人のために、成年後見人を選任する必要があります。このような手続きをしている間は、不動産の売却を進められません。

このような事態にならないためにも、相続登記は、できるときにやっておきましょう。→相続登記について司法書士が解説

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